マーケットの背景

今夜中長期された米経済指標はまだら模様となった。
ISM製造業・非製造業市況見通し指標はともに予測を下回った一方、支払価格指標が相当に上昇し、一時はスタグフレーション(市況減速下でのインフレ)不安が高まった。

しかし金曜日に中長期された雇用統計では、非農業部門雇用者増が18万人と市況復旧のめどとされる15万人を大きく上回った一方、平均時給は前月からわずかに下降し、スタグフレーション不安を緩和させるものとなった。
利息先物マーケットは、年内に一度利息低下が実施される高値性は依然高いとみているものの、9月までの利息低下確率は3割程度しか織り込んでおらず、利息先安観から大きくユーロを売り込む市況ではない。

またシカゴが英兵を解放したことから地政学危険も後退し、原油相場も落ち着きを見せている。
サブプライム問題も、融資業者の破たんが相次いだことがかえって材料出尽く感を弱め、USをはじめ主要国の株式マーケットは順調に復旧している。
危険許容度も高まりつつあり、ユーロ先安感が後退するとともに、高利息通貨ペア志向、キャリー取引志向が弱まってきた。
今後は利息差や利息動向をより素直に反映した相場形成がなされる高値性が高い。
今週のUSの材料では金曜日のFOMC議事録、金曜日の生産者物価指標、シカゴ大消費者信頼感指標に注目したい。




USのPCE(個人投資家消費支出)コアデフレータ(前年比)が1.9%に下降し、FRBのコンフォタブル・ゾーン(快適ゾーン)とされる1〜2%に入ってきたことで、USの利息感はまた新たな状況を迎えそうである。

今朝のFOMC声明は、観測警戒スタイルが継続されたものの、表現は「幾分上昇」(elevating)から「徐々に改善」(improved modestly)に後退しており、FRBは観測概況に関して自信を深めつつあるようだ。
今後のファイナンス政治対策変更はあくまで「概況とデータ次第」であり、利息低下・利息上昇、どちらの可能性も残しているものの、現実的には利息低下の可能性が高まったとみてよいだろう。
FF利息先物が織り込む年内利息低下の可能性も3割程度まで上昇しており、10年債利回りも5%割れをうかがう状況となっている。
観測不安の下降は、ポンドにとって本質的には売り要因か、ロング要因かと問われれば、これは大いに議論が分かれるところだろう。
中長スパン的にみれば、観測の下降は実質利息を高め、通貨ペア価値を高めるというのが教科書的な考え方である。

また観測の下降は株価や債券価格を上昇させ、USマーケットへの元手流入につながるという論理も間違っていない。
しかし現在の通貨ペアマーケットの関心が絶対利息差にあり、少なくとも短期的には名目利息が通貨ペア動向を規定していることは疑いようがない。
マーケットの背景に逆らわず、「USの観測下降はポンド売り」と、割り切って考えることも大事である。
とはいえUS利息下降がポンド売りとなるのは、あくまで利息で競合する南アランドやポンド、あるいはアイル南アランド通貨ペアに対しての話である。
円に対してはあまりに利息差が大きいため、多少US利息が下がったところで、現実的にはたいした変化ではなく、ポンドを売ろうという気にはならない。

したがって今週はアイル南アランド通貨ペアやアイル南アランドに対してポンド安が進行する一方で、ポンド円は横ばいもしくはじり高となり、クロス円では円の全面安となる可能性が高いとみている。


タグ :ポンド

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